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JSCE Magazine,“Civil Engineering”

土木学会誌

■土木学会誌2012年9月号モニター回答


■ 第91回 漫画家 ヤマザキマリさんに伺いました

SFとコメディ、そして公衆浴場と銭湯、これらを絡めた作品を書き上げた作者の想いを聞くことが出来て大変印象に残った。公衆浴場と言う古代ローマの都市施設に対して、一技師が熱い志を持っていたという事実を肯定的に書いて頂いたことに感謝したい。映画化された作品は出演者の個性もあり、コメディチックなストーリーであるので、一見土木の分野がかかわっているようには見えない作品であるかと思う。しかし、作品の中に当たり前に土木の分野が入り、土木が熱意が込められるものである、と言う描き方もまた面白いと感じた。作者が、土木技師が、今この復興の場において何が必要かということについて、インフラの整備と共に、みなが集え、憩え、情報が交換できる場所が必要であると話していたことに対して、土木技術に対する信頼を感じ、普段の街づくりの中でもこれに応えたいと感じた。
(所属:中野区 氏名:諸井 敬嘉)

■ 開通した新東名高速道路 谷野 知伸

今年のお盆は、関東から実家の岐阜に車で帰省しました。開通した新東名高速道路はどんなものか。ぜひ走ってみたかった思いがようやく叶いました。走ってみて感じたのは、何と言っても走行のし易さでした。カーブやアップダウンが緩やかなので、とても走りやすく、ストレスが大幅に軽減されました。実家までの移動に、いつも疲れがたまっていましたが、今回はそれがかなり軽減されました。新東名高速道路は、渋滞緩和や経済走行などのメリットだけでなく、メンタル面にも大きなメリットがあると感じました。
(所属:日特建設 氏名:田中 尚)

8月のお盆の時期に帰省先に向かう途中で新東名のNEOPASA駿河湾沼津を利用させていただいた。長期休暇中ということもあり、家族連れ等によりにぎわっていた。一利用者しては気づかなかったが、本記事を拝読させていただき、緊急時に備えた非常用電源やヘリポートの併設など、被災時の拠点となる設備・施設があることがわかった。今後想定されている東海地震や首都直下型地震等の有事の際は、防災機能を十分に発揮し、減災・早期復旧等に役立つことを期待したい。
(所属:東京急行電鉄(株) 氏名:勇 龍一)

■ 第98回  深浦水雷艇隊基地跡 ─離島に眠る石造護岸設備群─ 市原 猛志

過去に様々な土木遺産がこの連載で取り上げられているように、歴史的な土木構造物にはそれぞれの時代の技術が多数採用されていますが、それらの技術は軍事施設として戦争と共に発展してきた部分も少なからずあると思います。その様な技術の発展の仕方は望ましいことではなく、遺産として残すことを望まない人もいるかもしれませんが、過去の技術や教訓,記憶を残し、後世に伝えることで今後の技術の発展に繋げる事も重要ではないかと思います。土木遺産を守ることは様々な歴史を形として残す重要な手段であり、全国にはまだ多くの歴史ある土木構造物があると思いますので、今後もそれらの整備・保存に期待したいと思いました。
(所属:東洋建設株式会社 氏名:山野 貴司)

「見どころ土木遺産」は、本誌の中でも毎号特に楽しみにしているコーナーです。今回は、対馬の深浦水雷艇隊基地跡ということですが、正直申しまして今までその存在すら知りませんでした。九州では、石材加工技術を駆使した土木構造物として、長崎の眼鏡橋や熊本の通潤橋などが特に有名ですが、とりわけ個人的にも魅了される部分として、本誌にも紹介されている曲線部の石割加工の技術があります。素人目にも手間の掛かる作業を丁寧に仕上げたと思われる曲線の美しさ、何よりコンクリート構造物にはない石造り特有の温かさに土木遺産としての価値を感じます。良好な保存状態を今後も維持していくためにも、文末の「これからの周辺整備が待たれて止まない」とのメッセージに賛同します。
(所属:(一財)日本水土総合研究所 氏名:橋 直樹)

■ 記事1 座談会 東日本大震災の教訓を、安全な中部への再設計につなぐ
[座談会メンバー]川勝 平太、足立 敏之、水谷 法美、柄谷 友香、[コーディネーター]林 良嗣、[オブザーバー]井上 隆信嗣

有識者の貴重な座談会の記事であった。ただ、東日本大震災クラスの災害が発生した場合、復旧・復興に膨大な費用が発生すると思われるが、被害規模と概算金額についての記述が見当たらなかった。安全を再設計し、災害に対して備えるにしても、その費用が被害発生時に比べて、どのくらい少なくて済むかが判れば、なお効果的であると感じた。
(所属:高山運輸建設(株) 氏名:高澤 謙二)

■ COLUMN1 自然災害における高速道路の役割 峯村 英二

高速道路という非常に長い道路では様々な構造に分かれており、それら全てを補強する事は非常に時間がかかると思う。しかしながら、いつどのような災害が起こるとも分からないため、速やかに啓開する事が非常に重要であると思う。交通路以外で高速道路の担う役割が非常に多いことを知り、ハード面だけでなく、ソフト面も併せたBCPの策定が重要であると再認識した。
(所属:東京急行電鉄 氏名:堀江 宏明)

■ 企画趣旨 田畑 宏司

新成長戦略,動もすれば過去の経済成長を思いがちで,何か今の時代にしっくりこない日頃の違和感を思いながら,記事を拝読しました。雑駁なまとめ許されるなら,これからの土木に求められるのは,市民に開かれた技術者像ということでしょうか。そこでは,需要の拡大による経済成長を期待するというのではなく,安全も含めた生活の質を向上への貢献が求められているように思います。「成長戦略」とう経済主義を匂わせる言葉への違和感も,強ち間違っていなかったのかと自己満足を抱きました。さて,需要の拡大を期待しない,と言ったとき,就業人口の1割弱を抱える建設業としては,今後の生き残りを懸けてどのような戦略を考えなければならないのか,難しい時代です。
(所属:東電設計(株)  氏名:恒國光義)

■ 記事2-2 諸行無常 Peter E. Phillips

名訳だと思います。原文のタイトルを直訳すれば、「唯一不変なものは、“変化”である」とでもなるのでしょうが、「諸行無常」とされたことに感心しました。同時に、著者が若いエンジニアに送るメッセージは、心に染み入りました。特に、エンジニアのスキルとして求めている「文化的感受性」という言葉です。技術が生まれた背景にある文化、技術を受入れ活かすことのできる文化、これらを感じ取る重要性を発信されていると受け取りました。また、最後に述べられている「日本では、政治家などの素晴らしい文言が実行に移されたことはなかった」という指摘は、「諸行無常」が響かない社会への警鐘なのだと思いました。
(所属:メタウォーター(株) 氏名:楠本光秀)

■ 記事2-3 対談 官民連携(PFI / PPP)分野で活躍する土木技術者 [メンバー]宮本 和明 、金井 誠 [司会]田畑 宏司

これまで曖昧だったPFIの活用にあたっての要領をつかむことができた。収益性の高い公共事業については、民間資金とノウハウを活かし民間で実施すべきであるということである。その収益性があるかどうかの判断は、「官」にとっても非常に難しいように思う。本記事を読むと、「官」は収益性のシロクロを明確にできず、「民」に判断を委ねている公共事業も少なくないように感じ取れた。そんなチャンスをモノにするためにも、筆者は土木技術者もお金のビジネス学を学ぶべきだと説く。私は筆者に賛同する。特に日本の多くの企業が注力しているインフラ分野の海外事業については、そのビジネス感覚が特に重要になってきそうである。
(所属:電源開発(株) 氏名:小林憂三)

公共事業の先細りが懸念される今日において、土木分野が新たに成長をするためにはPFIなどによる民間の活力を期待するのは当然の流れのように思います。ただし、経済の停滞が進む地方においては、リスクがはっきりしないPFIに投資をする民間会社は皆無に等しいと思われます。震災復興の中で国交省によるPPPの活用が予定されていますので、PFIの実績も積み重ね、民間がインフラ整備に投資するメリットが具体的に見えるようになることを期待しています。成功例が示されることで、地方にもPFIなどの民間活用の流れが波及し、新しい土木事業が展開されてくるように思います。
(所属:福島県 氏名:小林元彦)

■ COLUMN 「新成長戦略」を反証する 藤井 聡

還暦世代ですが、コラムのように、データを付けて説明されると“なるほど”と思いました。「新成長戦略」には、何も“新”はありませんね。過去を振り返ると、20年前にも同じような切口のキャッチフレーズがあったような気がします。バブルが弾けて、次の目標が定まらないうちに、外向けの聞こえのよい考え方が出て来ましたが、基本的な心棒を固めなかったため、世界の荒波に右往左往し、停滞した20年間のような気がします。そして、高度成長期に貯めた国家資産、備蓄を食いつぶしてきたのが現状のような気がします。原点に戻って、再度考えをめぐらし、基本的な心棒を固め、次世代にも希望が見える“再生戦略”を推し進める必要があると思います。
(所属:小柳建設 氏名:金原義夫)

目から鱗が落ちるデータを見せつけられた気がしました。大手新聞のコラムの9割がそうであるように、他のメディアからの情報も「改革路線」という思想を流し続けてきたと思います。我々は、その中にどっぷりと浸かり、改革路線が実践できていないから成長できていないと信じてきました。本コラムは、そうではないかも知れないと思わされるものでした。改革路線という思想そのものが硬直化し、変化を拒んで何度も何度も焼き直しで繰り返されているとしたら、やはり変化が必要なのだと思いました。
(所属:メタウォーター(株) 氏名:楠本光秀)

■ 記事3 職場での人材育成 ─土木技術者の場合を考える─ 中原 淳

私自身、まだまだ技術者として学ぶべきことが多く、後輩への教育訓練を行うことも大事だと認識しているものの、具体的な行動に移すことができていないことが多々ある。先輩方からは、OJTにより、業務を学ぶよう教育されていたが、近年は、新入社員向けの教育等が実施され、多くの学ぶ機会が増えている。しかし、多くの学ぶ機会が与えられている一方で、教えられる側が受動的になっており、知識や経験を吸収することが少ないように感じている。先輩方が培ってきた知識や経験を引き継ぎ、土木技術者として成長できるよう励みたいと思う。
(所属:東京急行電鉄(株) 氏名:勇 龍一)

当社においても関係者ヒアリング結果と合致しているが、OJTによるだけでない教育プログラムの策定、年長者からの技術伝承講話等を実施し、若手の技術力向上を図っている。会社は学習する場を提供してくれているが、振り返り、持論をまとめ得たときに能力が伸びるとの記載の通り、最終的には各個人の取り組み次第で効果が変わってしまうので、教育・育成とは難しいものだと思った。
(所属:東京急行電鉄 氏名:堀江 宏明)

■ 記事4 日本社会の変容と土木技術者の役割変化 ─ポストモダンと技術者教育─ 柴山 知也

日本社会が変容していく中、これからの土木技術者教育はどのような対応をすべきなのか。表中における土木工学の学問体系の変遷を見て、今後すぐにでも増やして欲しいと思った学問がある。それはコミュニケーションやディベートの能力を向上させる学問である。大学を卒業した土木技術者が市民とともに歩み、協同するためにも、また、技術者の発信力を向上させるためにもぜひ必要であると私は考える。
(所属:高山運輸建設(株) 氏名:高澤 謙二)

■ 社会安全哲学の構築に向けて 吉野源太郎 公益社団法人日本経済研究センター客員研究員

業界外の視点から見た、土木業界への苦言・提言として拝読した。筆者をはじめ未だに土木業界の利権・談合など過去の悪いイメージが市民に払拭されていない中、今後の防災・減災事業に対しては、市民との合意形成がますます重要となると感じた。
(所属:高山運輸建設(株) 氏名:高澤 謙二)

インフラの整備について、安全の限界や設計の限界を説明せずに来たことが技術者としての不信を招いているということや、地域社会の未来像をしっかりと描く必要があると述べられていたことが印象的であった。 淡々と業務を執行するだけでなく、この事業がどれだけこの街に必要なのか、根拠は何か、今ある問題点を今後どう解決していくかを考え、それを上手く表現できているか、そういったことを考えながら仕事を行わなくてはと改めて感じた。
(所属:中野区 氏名:諸井 敬嘉)

■ 土木のカテゴリアを考える ─土木は何を対象領域として国民に役立つ学問となるのか─ 佐藤信秋 参議院議員、藤井 聡 京都大学大学院 教授

私は以前,ある研究会で「コンクリートから人へ」について反論する無邪気な発表を行ったことがあります。今考えると,それは「くに」の施策を実行せざるを得ない,あるいは記事中の言葉のように「政治を経由」せざるを得ない土木のジレンマ,ささやかな抵抗であったようにも思います。そんな私にとって,学会の先生が政界の先生に意見する対談は,拍手を持って応援したい企画であると同時に,政策とも大きく関係する土木として,大きな意味をもつ活動のように思いました。今後も,くにづくりのビジョンという「大きな物語」を学会として発信していただくとともに,学会誌を通じてその方向性とコンセンサスを醸成していただきたいと思います。
(所属:東電設計(株) 氏名:恒國光義)

土木の目的は、人びとの役に立つことにある。人びとを取り巻く環境が変化すれば、その目的を達成するための手法や考え方も当然変化すると私は考える。今、我が国のみならず、世界規模において人びとを取り巻く環境が激変していると言える。それは、人口構成、経済、自然環境、技術etc.と非常に多岐に渡った項目や分野となり、その中の一つに政治も該当する。先に挙げた項目は、何れも時間軸が異なる変化を示すものであり、それ故にプライオリティーを定めることが難しくなる。政治や土木学会においては、インフラやサービスの供用期間を軸として、これからも人びとの役に立つための活動を行って頂きたく思う。
(所属:開発設計コンサルタント 氏名:野嶋潤一郎)

■ 建設技術者を正当に評価せずして復興や防災・減災は可能か!─土木と土木技術者が日本社会でリスペクトされるために─ 金井 誠

土木と土木技術者が日本社会でリスペクトされるための方策として、筆者の主張は、大いに賛同できるものであり、土木学会誌に論説として発信するだけはもったいないと思う。筆者には土木産業界のトップとして、自らの主張を土木学会の戦略的な活動方針に反映させ、土木及び土木技術者の地位向上に繋がる仕組みを構築して欲しいと思いました。
(所属:高山運輸建設(株) 氏名:高澤 謙二)

■ 工業高校土木系コースにおける「まちづくり学習」の取組み 森本 浩行

まちづくりを行うにあたっては、住民の考える将来の街に対する希望と、行政としての出来る範囲とを調整する専門家に対するニーズが高くなってきている。その中で、このような取組みを行い、高校生の段階で行うことは、街づくりに対しての意識をより引き出すための好例であると感じた。また、この授業を実施するのにあたり、学校側と行政、そして地域、企業の協力がかなり綿密に行われたのではないかとも感じた。 現状の街に対しての課題点を挙げることは、長年住んでいるからこそ見えにくくなっていることを、学生の視点により新たに見えてくることもあろう。学生にとっては専門的視点を学べるチャンスでもあり、ワークショップという形式で発表技術や街づくりについて多くの意見をあることを経験できることは、大変有意義であるとも思う。このような取り組みが、街づくりに対しての意識向上に活かされるよう願いたい。
(所属:中野区 氏名:諸井 敬嘉)


© Japan Society of Civil Engineers 土木学会誌編集委員会